あのカードとの出会いは学生の頃でした。
MTGって面白いなあ、とハマりつつあった頃の事。友人と、仲間内だけで盛り上がっている頃。僕は用事があって、東京へ行くことになりました。
勿論折角の上京ですから、時間を作ってカードを売っているお店へ行ってみました。事前に店を調べて、場所を調べて、ホテルから電車の乗り継ぎを調べて。滞在時間まで計算して。
思えばこの旅では、こうやって考えている時が一番楽しかったような気がします。よくある話ですけど。
いざ東京に着き、用事が終わり。
店へ向かう自分の心は最早ぐるぐる。何してんだろう的な後悔の念、不安感、緊張感が渦巻いて、途中何度も引き返そうとしてしまいました。近くまで来てもお店がどこだか分らず探し歩き、やっぱり帰ろうと思い駅へ向かいましたが、ここまで来たのに勿体ない、とギリギリのところで踏みとどまり、振り返ると偶然にも目的の看板。ようやくお店を見つけることが出来ました。
店内には日中から数名のMTGプレイヤーさんがおり、談笑しながらプレイしていました。明る過ぎない照明の下で和やかな雰囲気を纏ったその大人の集団は、学生だった僕には何とも眩しく、羨ましく見えました。
今思えば平日の昼間に、どういう集まりだったんでしょうね(^^;東京では普通なのかな。
早速ショーウィンドウを眺めます。高額の、良く分からないカードがずらり。
多分4版ぐらいまでの強力カードたちが並んでいたんでしょうけど、英語が多く、そもそも稲妻の強さに若干疑問を抱いていたような奴だったので、それのどこが強いのか、なぜ高額なのかさっぱり分かっていません。
とはいえ目の前には求めていた光景が広がっているわけです。必死で拙い英語力を駆使して1枚1枚見ていきます。アンティって確か仲間内で禁止にしたやつだよね?マナ出せるだけなのに何でこのカード数万もするの? この高い土地はきっと希少価値のせいで高いんだろうなあ。そういうのはいらないや。あれ?ボールライトニングって鳥より安いんだ!そんなバカな!
さて、ショーウィンドウを眺めて20分、店員さんが気を使って声をかけてくれ、ようやくシングルのファイルを見せていただくことになりました。でも、やっぱり良く分かりません。予算はお年玉分から十分に持って来たのですが、その範囲で何を買ったらいいのやら。
全部欲しいけど、全部手を出せない。そんな気分。
御礼を言ってファイルを返し、再びショーウィンドウへ。折角ファイルを見せてもらったのに何も注文しなかったことがとても恥ずかしく、正直もう帰ろうかと考えていました。なんという場違いな自分。田舎者。まあこれは今でもですけど。自分訛りヤバいですし。
そこで、ブースターやスターターが売っていることに気が付きました。でもここまで来て、今さらそれを買ってもなあ……。でも、何も買わないよりは間違いないし……。
黒「あの、4版スターターってこの値段なんですか?」
店「はい。言ってくれればこちらからお出しします」
黒(へえ……地元よりちょっと安いみたい。これにしようかな?)
……ん?
黒「他にも売ってるやつって、どういうカードゲームですか?」
店「それもマジックのカードになります」
衝撃を受けました。4版とクロニクル、ホームランド、フォールンエンパイアぐらいしか地元のお店で見たことが無かった自分にとって、それらのパックやブースターがあること、売られていること自体に物凄く驚いたのです。
早速値段を見て、一応店員さんに、どういうカードが入っているのかを聞きました。でも、その名前も効果もまるで呪文。まさにマジック。はあ、はあ、と適当に相槌を打ち、分かったフリをして再び悩みました。
10分ぐらい悩んで……。
黒「じゃあ、このスターターとブースターをお願いします」
店「……結構しますけど、宜しいですか?」
黒「は、はい。はい」
こくこく。
一世一代の大決心――ではなく、どうせ1万ぐらいは使用する予定だったので、何を買うか決められない以上、何か良いものが入っていると思われる、妙に高いスターターと、クロニクルのブースターいくつか、そして色がきれいなブースターもいくつか購入。もう勢いのまま、気持ちが変わらないうちに、と一気に購入してしまいました。
ブースターについては、そのスターターよりも高いものがあったりしましたが、流石に十数枚に対してその金額は払えませんでした。今と比べたらよっぽど安かったですけどね。
ドラフトやシールドなんて言葉を知らないので、買ったパックを開けないなんて出来るはずがありません。店員さんの前で開封させていただくことに。
そしたらいつの間にか、向こうでプレイしていたグループが何故か見に来ていました。緊張感が更に高まり、心臓の音がやけに煩く。
クロニクルを一気に開け、まあまあこんなもんでしょ。アンコに当たりがあったぐらい。
お次は色の奇麗なブースター。
……何これ?
……何これ?
……何(ry
ここでもう後悔が湧きあがりました。効果も価値もさっぱり分からないカードをどうして僕は買ってしまったんだろう。やっちまった感が頭に、血と共に登りました。
客「これは当たりですよ。ちょっとトレードして欲しいです」
黒「は、はあ。そうなんですか」
当たりと言われても使えませんし。僕なんかが入っていい世界じゃありませんでしたし。慰めだったらいりませんし。これも勉強だと思えますし。多分。おそらく。
続いて、訳の分からない勢いのままスターター。
こっちには見たことのあるカードがあり、少し安心しました。
が、レアって確か3枚だけ。見たことのある弱い奴だったらどうしよう。そういう不安まで持ち上がってきてしまい。
いつの間にかカードを送る指がレアの場所を超えていました。
最後まで見て、何の喜びも起きない自分に軽く笑い。
さっさとカードを箱に戻して帰ろうとしました。
客「あの、今のレアもう一回見せてもらっていいですか?」
黒「はあ。どうぞ」
投げやりに答え、渡す自分。何とも餓鬼臭い反応ですね。平気なふりの熟練者には程遠かったです。ホントにお恥ずかしい。
客「やっぱり。これ、結構強いですよ」
言われたカードを見ます。隣には極楽鳥。こっちはもうトレードで出しつくしていて、欲しいカードではありませんでした。次のカードは持ってはいなかったけど、確か使わない青いカード。そして言われた最初の一枚は。
黒「強い、ですか……でも、ただの土地ですよ?」
客「……まあ、そうですね……確かに、要らない人からしたら要らないかもしれませんね。1枚じゃあ使わないだろうし……でも良かったらトレードしませんか?奇麗だし、僕好きなんで」
当時の僕ではその言葉の裏を読めませんが。
黒「いや、トレードは仲間内だけ、ということにしてるんで」
東京に行く、と言ったら友人が教えてくれた、『向こうでトレードはしない方がいいよ』という言葉に従っていました。あの時の友人は、本当にいい奴でした。(注:東京がそうだ、と言う事ではなく、価値を知らない僕を気遣ってのものです。あしからず)
その言葉の後、すーっと席に戻っていくその人たちが何だか怖く、逃げるようにお店を出ました。あれほど眩しく感じた彼らが、何か恐ろしい、得体のしれない集団に見えました。
どうやって帰ってきたのかも分からないままホテルにいて、疲れから早い就寝となりました。
翌日には電車で帰宅の途に。コンクリートの街並に見送られながらもう一度、買ってきたカードを眺めてみました。
あーあ、こんなのに1万近くも使っちゃうなんて……
その恥ずかしさから、買ってきたことは友人に内緒にしてしまいました。
それから1年後?、友人とも卒業で離れ離れになり、新しい仲間を運よく作ることが出来た僕は、MTGを続けていました。
その頃は多少カードのことを勉強しており、とりあえず新しく出たエキスパンションのカードを買いまくっては、本に乗っていたようなデッキを作ったり、それを相手に勝てるようなデッキを考えたり、改造したりしていました。
そのうち、デュエルスペースで友人が増え始めました。最近始めた方、前からやっていた方、よく大会にも行かれる方。様々な方と出会い、MTGへの気持ちが一番充実している時期となりました。まあ僕の充実は、強さより楽しさですけどね。
その頃にはすっかり東京で買ったカードのことなど忘れており、それは普通に持っているカードの束にごっちゃに混ざってしまっていました。
そして、あのカードと出会うことになるのです。長々と引っ張ってすいません(^^;;;
A「あの、良かったらトレードしませんか?」
仮称Aくんという、前から長くMTGをやっている方と出会いました。その初めての出会いの日、挨拶の後にそんなことを言われたのです。
黒「いいですが、ろくなの無いですよ?悪くないのは使ってますし」
A「構いません。是非見せて下さい」
自分より年下なのに、妙にしっかりした高校生の方でした。
が、トレードは正直、したくありませんでした。東京で起きたあの件で、もしかしたら僕はシャークされそうになっていたのかもしれない、そう感じてしまったせいでした。トレードというものが怖くて仕方ありませんでした。
だから、何を言われても断ろうと思っていました。まあどうせ、僕のボックスにはろくなカード入ってませんし。
A「ちょwwwwなんでこんなの持ってるんですかwwww」
それがウィルでした。
スリーブにも入れず、青の使わないカードの束の中にひっそりと混ざっていたのです。
A「現環境では使えませんが、下のタイプなら使える、超優秀カードですよ」
しかも、そのカードの効果を細かく説明してくれたのです。
そんなことを聞いたら、トレード出したくなくなるに決まってます。
断ろうと思っていたら。
A「黒のさんのデッキ、青白ですよね?これ早速入れて、使ってみた方いいですよ。うん、自分で使った方がいい」
黒「……そう、ですか………」
A「あ、あと、そのデッキに入ってた土地、あれは強いですけど1.5では使えませんから、タイプ1にしないなら抜いた方がいいですね」
黒「はあ(で、その土地の方が本命か……なるほど)」
黒「その土地は欲しくないですか?自分はあまり強いと思わないので無くてもいいんですが」
とか言っておいてカマをかけ、トレード持ちかけられたらやっぱり出さない、と企みました。被トレードに対し、過剰なまでの抵抗感。痛すぎますね。ああ書くのも恥ずかしい。でもここまで来たし書いちゃえ。
でも。
A「いやあ欲しいですけど、それに見合うカードは持ってないです(^^;それ、ツンドラって言って、数千円する凄いカードなんですから。それも黒のさん、絶対持ってた方がいいですよ」
黒「……………………」
僕は右手を差し出して、いきなり握手を求めていました。
以来、僕はAくんたちとつるむようになり、三条の大会に一緒に行ったり、連絡を取り合ってデュエルしたりするようになりました。本当に楽しかった。今でもファミリアのことやよく行ったデュエルスペースを思い出します。
彼らは今でも元気でやっているかな?ゼニス強いとか、テゼレットがどうとか言っていてくれたら……いや、そうでなくても元気であれば。
大雪も寒さも続くけど、そんなことを思い出して心の暖を取る僕。
キモイかもしれないけど、ちっとも恥ずかしくないわけで。
シャベルを握る手に力が入り、雪の塊が、ぼん、と遠くへ飛んで行きました。
**********
……まあ、そういうことがあったわけです。
最近DNでウィルが強い弱いと話題になっていますが、僕にとってはどうでも良い事。
好きなカードだから、それだけで、強いです。強くなります。強く使ってあげたいです。
やっと言いたい事が書けた(^^;文書書くの下手すぎ。精進しますわ。
MTGって面白いなあ、とハマりつつあった頃の事。友人と、仲間内だけで盛り上がっている頃。僕は用事があって、東京へ行くことになりました。
勿論折角の上京ですから、時間を作ってカードを売っているお店へ行ってみました。事前に店を調べて、場所を調べて、ホテルから電車の乗り継ぎを調べて。滞在時間まで計算して。
思えばこの旅では、こうやって考えている時が一番楽しかったような気がします。よくある話ですけど。
いざ東京に着き、用事が終わり。
店へ向かう自分の心は最早ぐるぐる。何してんだろう的な後悔の念、不安感、緊張感が渦巻いて、途中何度も引き返そうとしてしまいました。近くまで来てもお店がどこだか分らず探し歩き、やっぱり帰ろうと思い駅へ向かいましたが、ここまで来たのに勿体ない、とギリギリのところで踏みとどまり、振り返ると偶然にも目的の看板。ようやくお店を見つけることが出来ました。
店内には日中から数名のMTGプレイヤーさんがおり、談笑しながらプレイしていました。明る過ぎない照明の下で和やかな雰囲気を纏ったその大人の集団は、学生だった僕には何とも眩しく、羨ましく見えました。
今思えば平日の昼間に、どういう集まりだったんでしょうね(^^;東京では普通なのかな。
早速ショーウィンドウを眺めます。高額の、良く分からないカードがずらり。
多分4版ぐらいまでの強力カードたちが並んでいたんでしょうけど、英語が多く、そもそも稲妻の強さに若干疑問を抱いていたような奴だったので、それのどこが強いのか、なぜ高額なのかさっぱり分かっていません。
とはいえ目の前には求めていた光景が広がっているわけです。必死で拙い英語力を駆使して1枚1枚見ていきます。アンティって確か仲間内で禁止にしたやつだよね?マナ出せるだけなのに何でこのカード数万もするの? この高い土地はきっと希少価値のせいで高いんだろうなあ。そういうのはいらないや。あれ?ボールライトニングって鳥より安いんだ!そんなバカな!
さて、ショーウィンドウを眺めて20分、店員さんが気を使って声をかけてくれ、ようやくシングルのファイルを見せていただくことになりました。でも、やっぱり良く分かりません。予算はお年玉分から十分に持って来たのですが、その範囲で何を買ったらいいのやら。
全部欲しいけど、全部手を出せない。そんな気分。
御礼を言ってファイルを返し、再びショーウィンドウへ。折角ファイルを見せてもらったのに何も注文しなかったことがとても恥ずかしく、正直もう帰ろうかと考えていました。なんという場違いな自分。田舎者。まあこれは今でもですけど。自分訛りヤバいですし。
そこで、ブースターやスターターが売っていることに気が付きました。でもここまで来て、今さらそれを買ってもなあ……。でも、何も買わないよりは間違いないし……。
黒「あの、4版スターターってこの値段なんですか?」
店「はい。言ってくれればこちらからお出しします」
黒(へえ……地元よりちょっと安いみたい。これにしようかな?)
……ん?
黒「他にも売ってるやつって、どういうカードゲームですか?」
店「それもマジックのカードになります」
衝撃を受けました。4版とクロニクル、ホームランド、フォールンエンパイアぐらいしか地元のお店で見たことが無かった自分にとって、それらのパックやブースターがあること、売られていること自体に物凄く驚いたのです。
早速値段を見て、一応店員さんに、どういうカードが入っているのかを聞きました。でも、その名前も効果もまるで呪文。まさにマジック。はあ、はあ、と適当に相槌を打ち、分かったフリをして再び悩みました。
10分ぐらい悩んで……。
黒「じゃあ、このスターターとブースターをお願いします」
店「……結構しますけど、宜しいですか?」
黒「は、はい。はい」
こくこく。
一世一代の大決心――ではなく、どうせ1万ぐらいは使用する予定だったので、何を買うか決められない以上、何か良いものが入っていると思われる、妙に高いスターターと、クロニクルのブースターいくつか、そして色がきれいなブースターもいくつか購入。もう勢いのまま、気持ちが変わらないうちに、と一気に購入してしまいました。
ブースターについては、そのスターターよりも高いものがあったりしましたが、流石に十数枚に対してその金額は払えませんでした。今と比べたらよっぽど安かったですけどね。
ドラフトやシールドなんて言葉を知らないので、買ったパックを開けないなんて出来るはずがありません。店員さんの前で開封させていただくことに。
そしたらいつの間にか、向こうでプレイしていたグループが何故か見に来ていました。緊張感が更に高まり、心臓の音がやけに煩く。
クロニクルを一気に開け、まあまあこんなもんでしょ。アンコに当たりがあったぐらい。
お次は色の奇麗なブースター。
……何これ?
……何これ?
……何(ry
ここでもう後悔が湧きあがりました。効果も価値もさっぱり分からないカードをどうして僕は買ってしまったんだろう。やっちまった感が頭に、血と共に登りました。
客「これは当たりですよ。ちょっとトレードして欲しいです」
黒「は、はあ。そうなんですか」
当たりと言われても使えませんし。僕なんかが入っていい世界じゃありませんでしたし。慰めだったらいりませんし。これも勉強だと思えますし。多分。おそらく。
続いて、訳の分からない勢いのままスターター。
こっちには見たことのあるカードがあり、少し安心しました。
が、レアって確か3枚だけ。見たことのある弱い奴だったらどうしよう。そういう不安まで持ち上がってきてしまい。
いつの間にかカードを送る指がレアの場所を超えていました。
最後まで見て、何の喜びも起きない自分に軽く笑い。
さっさとカードを箱に戻して帰ろうとしました。
客「あの、今のレアもう一回見せてもらっていいですか?」
黒「はあ。どうぞ」
投げやりに答え、渡す自分。何とも餓鬼臭い反応ですね。平気なふりの熟練者には程遠かったです。ホントにお恥ずかしい。
客「やっぱり。これ、結構強いですよ」
言われたカードを見ます。隣には極楽鳥。こっちはもうトレードで出しつくしていて、欲しいカードではありませんでした。次のカードは持ってはいなかったけど、確か使わない青いカード。そして言われた最初の一枚は。
黒「強い、ですか……でも、ただの土地ですよ?」
客「……まあ、そうですね……確かに、要らない人からしたら要らないかもしれませんね。1枚じゃあ使わないだろうし……でも良かったらトレードしませんか?奇麗だし、僕好きなんで」
当時の僕ではその言葉の裏を読めませんが。
黒「いや、トレードは仲間内だけ、ということにしてるんで」
東京に行く、と言ったら友人が教えてくれた、『向こうでトレードはしない方がいいよ』という言葉に従っていました。あの時の友人は、本当にいい奴でした。(注:東京がそうだ、と言う事ではなく、価値を知らない僕を気遣ってのものです。あしからず)
その言葉の後、すーっと席に戻っていくその人たちが何だか怖く、逃げるようにお店を出ました。あれほど眩しく感じた彼らが、何か恐ろしい、得体のしれない集団に見えました。
どうやって帰ってきたのかも分からないままホテルにいて、疲れから早い就寝となりました。
翌日には電車で帰宅の途に。コンクリートの街並に見送られながらもう一度、買ってきたカードを眺めてみました。
あーあ、こんなのに1万近くも使っちゃうなんて……
その恥ずかしさから、買ってきたことは友人に内緒にしてしまいました。
それから1年後?、友人とも卒業で離れ離れになり、新しい仲間を運よく作ることが出来た僕は、MTGを続けていました。
その頃は多少カードのことを勉強しており、とりあえず新しく出たエキスパンションのカードを買いまくっては、本に乗っていたようなデッキを作ったり、それを相手に勝てるようなデッキを考えたり、改造したりしていました。
そのうち、デュエルスペースで友人が増え始めました。最近始めた方、前からやっていた方、よく大会にも行かれる方。様々な方と出会い、MTGへの気持ちが一番充実している時期となりました。まあ僕の充実は、強さより楽しさですけどね。
その頃にはすっかり東京で買ったカードのことなど忘れており、それは普通に持っているカードの束にごっちゃに混ざってしまっていました。
そして、あのカードと出会うことになるのです。長々と引っ張ってすいません(^^;;;
A「あの、良かったらトレードしませんか?」
仮称Aくんという、前から長くMTGをやっている方と出会いました。その初めての出会いの日、挨拶の後にそんなことを言われたのです。
黒「いいですが、ろくなの無いですよ?悪くないのは使ってますし」
A「構いません。是非見せて下さい」
自分より年下なのに、妙にしっかりした高校生の方でした。
が、トレードは正直、したくありませんでした。東京で起きたあの件で、もしかしたら僕はシャークされそうになっていたのかもしれない、そう感じてしまったせいでした。トレードというものが怖くて仕方ありませんでした。
だから、何を言われても断ろうと思っていました。まあどうせ、僕のボックスにはろくなカード入ってませんし。
A「ちょwwwwなんでこんなの持ってるんですかwwww」
それがウィルでした。
スリーブにも入れず、青の使わないカードの束の中にひっそりと混ざっていたのです。
A「現環境では使えませんが、下のタイプなら使える、超優秀カードですよ」
しかも、そのカードの効果を細かく説明してくれたのです。
そんなことを聞いたら、トレード出したくなくなるに決まってます。
断ろうと思っていたら。
A「黒のさんのデッキ、青白ですよね?これ早速入れて、使ってみた方いいですよ。うん、自分で使った方がいい」
黒「……そう、ですか………」
A「あ、あと、そのデッキに入ってた土地、あれは強いですけど1.5では使えませんから、タイプ1にしないなら抜いた方がいいですね」
黒「はあ(で、その土地の方が本命か……なるほど)」
黒「その土地は欲しくないですか?自分はあまり強いと思わないので無くてもいいんですが」
とか言っておいてカマをかけ、トレード持ちかけられたらやっぱり出さない、と企みました。被トレードに対し、過剰なまでの抵抗感。痛すぎますね。ああ書くのも恥ずかしい。でもここまで来たし書いちゃえ。
でも。
A「いやあ欲しいですけど、それに見合うカードは持ってないです(^^;それ、ツンドラって言って、数千円する凄いカードなんですから。それも黒のさん、絶対持ってた方がいいですよ」
黒「……………………」
僕は右手を差し出して、いきなり握手を求めていました。
以来、僕はAくんたちとつるむようになり、三条の大会に一緒に行ったり、連絡を取り合ってデュエルしたりするようになりました。本当に楽しかった。今でもファミリアのことやよく行ったデュエルスペースを思い出します。
彼らは今でも元気でやっているかな?ゼニス強いとか、テゼレットがどうとか言っていてくれたら……いや、そうでなくても元気であれば。
大雪も寒さも続くけど、そんなことを思い出して心の暖を取る僕。
キモイかもしれないけど、ちっとも恥ずかしくないわけで。
シャベルを握る手に力が入り、雪の塊が、ぼん、と遠くへ飛んで行きました。
**********
……まあ、そういうことがあったわけです。
最近DNでウィルが強い弱いと話題になっていますが、僕にとってはどうでも良い事。
好きなカードだから、それだけで、強いです。強くなります。強く使ってあげたいです。
やっと言いたい事が書けた(^^;文書書くの下手すぎ。精進しますわ。
コメント
OTK「なんか分かんないけどお前のウィルかっこよくね?」
すんごい嬉しかったです。ここ最近で2番目に嬉しかった。
ところで黒のさん、今度Tropical Islandください。
>トロピ
トレードならいいよ。
クリーチャーの福沢2枚となら1枚出してもいいです。
まぁ僕個人としては、現在のレガシー環境においてウィルは決して弱いとは思わないですね
東京での体験もきっと心の財産になってるんですね
僕にはトロピを野口とピントレしてくだしあw
隣のウィルは青い。
おっしゃる通りですね(^^
使う際を考えても、ハンドアド1枚を取り返したり、ポイントで打ち消せばテンポで勝てるようにしたり、そもそも生きるデッキに入れるんだから弱いはず無いかな、と。
展開で弱くなることはあるかも知れませんが、それはウィルのせいじゃ無いですよね。構成か、プレイングか、デッキ相性のせいかと。
>財産がどうたら
永遠の中二病ですが何か?キリッ
>トロピ
野口みずき クリーチャー-人間・ランナー
ですか。安藤美姫の方がいいです。あるいはやまぐちりく。
君がウィルを打つ→よくある光景。的確故の案の定。→普通
えばんがウィルを打つ→新鮮。何か絵になる。→格好いい